子どもの頃に夢中になったファンタジー。その世界を、大人になった今、もう一度味わってみませんか?
今回ご紹介するのは、ただの“異世界”や“魔法”ではありません。生死や記憶、社会のひずみ、愛や孤独といった重厚なテーマを幻想的な物語で描き出す、日本のファンタジー小説11選です。
読むたびに深く刺さり、静かに心を揺さぶられる作品を集めました。
「ファンタジー=子ども向け」という先入観を覆す、大人のための読書体験をぜひどうぞ。
気になるファンタジー小説を見つける参考にして下さい。
心に残る日本のファンタジー小説11選
黄泉がえり(梶尾真治)
新潮社/2002年11月28日刊行/480ページ
ある日熊本で死者が蘇る奇妙な現象――。
生と死のはざまに家族・社会がどう向き合うかを、切なく繊細に描く大人のファンタジー。非日常がもたらす心の再生と、現実に足をつけた悲しみが、読後の心にしっかりと染み渡ります。
最後の展開も驚きを隠せません。
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光の帝国(恩田陸)
集英社文庫/2000年9月20日刊行/288ページ
“常野”という超常の力を持つ人々の日常を淡く紡ぐ連作短編集。
喧騒から離れた静かな世界で見せる癒しと哀しみは、成熟した読者にこそ響く優雅な余韻を残します。
不思議な力の呼び方も魅力。
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オーデュポンの祈り(伊坂幸太郎)
新潮社/2000年11月刊行/294ページ
喋るカカシが支配する孤島に流れ着いた青年と、予言された「殺される未来」。寓話のような不条理世界に、死生観や倫理、現代社会への皮肉が織り込まれています。
物語の奇抜さに目を奪われながら、読み進めるほど哲学的な深みを感じさせる一冊です。
伊坂幸太郎のデビュー作。
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金色機械(恒川光太郎)
文藝春秋/2014年10月刊行/432ページ
江戸末期風の架空世界で、奇怪な装置「金色機械」がもたらす運命の歯車。
幻想文学と時代劇が融合したような独自の筆致は、読者を濃密な読書体験へ誘います。陰影のある世界観と人間の業を描く、重厚な大人向けファンタジー。
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獣の奏者(上橋菜穂子)
講談社/2006年11月刊行(単行本)/336ページ
異能の少女エリンと“王獣”との絆、そして国家の権力構造に巻き込まれる運命。
児童文学の体裁を取りながら、命・自由・倫理といった重いテーマを掘り下げる構成は、大人こそ深く味わえる作品です。
闘蛇編、王獣編、探求編、完結編、外伝と全5冊の長編。
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新世界より(貴志祐介)
講談社/2008年1月刊行/上下巻計1,030ページ(文庫版)
1000年後の日本。人々が超能力を獲得した未来社会の恐るべき真実。
道徳・支配・差別・集団心理といったテーマをSF×ファンタジーで描き切る圧巻の構成。濃厚な設定と重層的な謎が、大人の知的好奇心を強く刺激します。
こちらも1000頁の長編。
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月の満ち欠け(佐藤正午)
岩波書店/2017年4月刊行/320ページ
輪廻転生をモチーフにした、切なくも情熱的な愛の物語。
現実と幻想のあわいを静かに揺れながら進むストーリーは、純文学とファンタジーの中間的存在。派手さはないが、心の奥に確かな熱を残します。
エンディングにうたれます。
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クロスファイア(宮部みゆき)
光文社文庫/1998年10月刊行(文庫版)/496ページ
放火能力を持つ少女・青木淳子が、法では裁けぬ悪に立ち向かう。
社会派サスペンスの緊張感と、超能力を扱うスリルが融合した異色作。エンタメの枠を超え、人間の「正義とは何か」を問う重い主題が読み応えを生みます。
最後まで怒濤の展開です。
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空の中(有川浩)
メディアワークス(現KADOKAWA)/2004年10月刊行/376ページ
空から落ちてきた“なにか”との邂逅と、自衛隊・国家の対応。その中で揺れ動く少年少女と大人たちの姿を描く。
有川浩らしい感情描写にファンタジーとリアルな政治社会観が混ざり合い、軽やかでありながらも考えさせられる読後感に。
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百年法(山田宗樹)
角川書店/2012年6月刊行/上下巻計832ページ(文庫版)
不老不死が実現した社会で、人類に課された「100年で死ぬ法律」。
国家と個人の自由、死の意味と倫理観を問いかける社会派ファンタジー。大人だからこそ感じるジレンマと葛藤が詰まった一冊です。
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夜は短し歩けよ乙女(森見登美彦)
角川書店/2006年11月刊行/272ページ
京都の夜、奇妙な出来事に巻き込まれる“先輩”と“黒髪の乙女”の一夜の幻想譚。
とぼけたユーモアの中に、文学的なエッセンスと詩的な魅力が光る、軽やかで知的な大人のファンタジー。
短めで読みやすいです。
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まとめ
ファンタジーと聞くと、子ども向けの冒険譚を思い浮かべる人も多いかもしれません。
でも本当は、幻想こそが、大人の心の奥深くに触れてくれるもの。
現実に疲れたとき、自分を見つめ直したいとき、言葉では説明できない感情に出会いたいときなど。
そんなときこそ、今回ご紹介したような“読むほどに深く刺さる”物語たちが、静かにそばに寄り添ってくれるはずです。
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