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名作『星の王子さま』翻訳本が多い理由|読み比べた4冊ご紹介

星の王子さまのイメージ絵 小説
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60歳になって初めて『星の王子さま』を読みました。子どもの頃に読む本だと思っていた一冊が、思いがけず心の奥に深く染み入りました。

人生経験を重ねた今だからこそ響く言葉や、翻訳によって印象が大きく変わることに驚きつつ、大人だから味わえる魅力をお伝えしたいと思います。

この記事では、私が読んで心に響いたおすすめ翻訳本4選をご紹介します。

まだ読まれた事の無い方、内容を忘れた方は是非参考にして下さい。

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『星の王子さま』はどんな本?

作者サン=テグジュペリのプロフィール

『星の王子さま』の作者、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、1900年フランス生まれの作家であり飛行士でもあります。郵便飛行のパイロットとしてサハラ砂漠を飛び、多くの体験をもとにした文学作品を生み出しました。

代表作には『夜間飛行』『人間の土地』などがあり、人間の本質や孤独を深く描く作風が特徴です。『星の王子さま』は彼の最後の作品で、1943年に発表されました。

あらすじと時代背景

物語は、サハラ砂漠に不時着した飛行士と、そこに突然現れた不思議な少年“星の王子さま”との対話から始まります。王子さまは、自分の星を離れてさまざまな星を旅してきたこと、そしてそこで出会った大人たちの奇妙な価値観について語ります。

やがて王子は地球にたどり着き、キツネやバラ、そして語り手との出会いを通じて、“本当に大切なもの”とは何かを見つめ直します。

本作は第二次世界大戦中に書かれ、作者の戦争体験や人間愛が強くにじみ出ています。寓話のような語り口ながら、深い哲学と人生の真理が込められており、大人のための童話とも言われています。

名作『星の王子さま』の翻訳本が多い理由

『星の王子さま』は、世界で最も有名な児童文学作品のひとつです。その詩的で哲学的な物語は、時代や国境を超え、多くの人々に読まれ続けています。

現時点では、この作品は、聖書に次いで最も多くの言語に訳されている作品だそうです。

翻訳のんが多い理由の1つは、翻訳の出版権が消失した2005年以降に、十数社から新訳が出版されたためです。

『星の王子さま』の翻訳はどう違う?

内藤濯 訳(岩波書店)

日本人の原点ともいえる訳

日本で最も有名な翻訳であり、多くの読者が最初に手に取る定番。詩的で格調高く、原文に忠実な訳文が特徴です。少し古風な言い回しもありますが、それがむしろ作品の神秘性を高めています。

初めて読む方や、原作の雰囲気を大切にしたい方におすすめです。

著:サン=テグジュペリ, 翻訳:内藤 濯

河原泰則 訳(春愁社)

心の琴線に触れる静けさ

落ち着いた文体で、心に優しく語りかけてくるような翻訳。語りすぎず、余白を大切にした表現が、大人の読者に深い余韻を残します。

静かな気持ちで読書を楽しみたい方にぴったりです。

ドリアン助川 訳(皓星社)

詩人のような優しさ

詩人でもあるドリアン助川氏による翻訳は、言葉選びに柔らかさと感性があり、読みながら自然と涙がこぼれそうになる一冊です。現代の感性で読み直したい方や、子どもと一緒に読みたい方にも向いています。

何より大阪弁がインパクトあります。

著:サン=テグジュペリ, 著:ドリアン助川, 翻訳:ドリアン助川

河野真理子 訳(新潮社)

現代的で読みやすい文体

もっとも現代的で親しみやすい訳。自然な日本語で、違和感なく物語に没入できます。文章がスッと心に入ってくるので、読書が苦手な方や若い世代にもおすすめです。

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翻訳でこんなに変わる?印象的な4つの場面比較

翻訳の表現の異なる場面を、いくつかご紹介します。前後の描写は読まれたときのお楽しみです。

献辞の最後の部分

  • 内藤 濯訳:子どもだったころのレオン・ウェルトに
  • 河原泰則訳:子どもだったころのレオン・ウェルトにささげる
  • ドリアン助川訳:小さな子どもだったころのレオン・ウェルトへ
  • 河野真理子訳:小さな男の子だったころのレオン・ウェルトに

サハラ砂漠に不時着したときの飲み水の量

  • 内藤 濯訳:一週間
  • 河原泰則訳:八日分
  • ドリアン助川訳:一週間分
  • 河野真理子訳:一週間分

王子が砂漠に倒れたシーン

  • 内藤 濯訳:一本の木が倒れでもするように、しずかに倒れました。音ひとつ、しませんでした。あたりが、砂だったものですから
  • 河原泰則訳:あたかも伐り倒される一本の樹木のようにゆっくりと、そしてしずかに、砂の上へと落ちて行きました
  • ドリアン助川訳:木がたおれるようにゆっくりとくずれ落ちたのです。砂漠は、王子さまがたおれる音さえも飲みこんでしまいました
  • 河野真理子訳:木が倒れるように、くずれおちた。それでも物音ひとつしなかった。砂漠の砂のせいで

作者の「お願いの手紙」

  • 内藤 濯訳:王子さまがもどってきた、と、
  • 河原泰則訳:王子さまが、もどってきたよ!ってね
  • ドリアン助川訳:王子さまが戻ってきたよと
  • 河野真理子訳:彼が帰ってきた、と

実際に『星の王子さま』を4冊読んだ素直な感想

なんとなくでも違いが伝わったでしょうか

おそらく読む年齢や人生経験が感じ方を変えているのかもしれません。

同じフランス語を読んでもこれだけ違いがあるのが不思議です

翻訳本ですから、どれも間違っていないんでしょうね

これから『星の王子さま』を読まれる方の参考になれば嬉しいです

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まとめ

『星の王子さま』は、読む年齢によってまったく違う表情を見せる不思議な作品です。

翻訳によっても印象は大きく変わりますが、どの訳本にも「大人になった今だからこそ」心に響く言葉がありました。

60歳で初めて出会ったこの物語が、これからの人生を照らす道しるべになってくれるような、そんな読後感を残してくれました。

あなたも、ぜひ一冊、自分に合った『星の王子さま』を見つけて下さい。

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