60歳を迎えた今、若い頃とは違った視点で小説を読むようになりました。
涙が流れるわけではないのに、読み終えてふっと心に余韻が残る──そんな静かであたたかな小説たちに出会えたのです。
今回は、別れ・優しさ・人のつながりを描いた文芸作品の中から、「これは人にすすめたい」と心から思えた7冊をご紹介します。
『ライオンのおやつ』
著者:小川糸|出版社:ポプラ社|ページ数:約350ページ(文庫)|出版年:2020年
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涙よりも静かな余韻。人生の終わりに何を選びますか。
どんな小説か?
余命わずかな主人公が、瀬戸内のホスピスで過ごす日々を描いた物語。静かで優しく、命の終わりを穏やかに見つめる一冊です。
あらすじ(ネタバレなし)
がんの治療ができなくなった主人公・雫は、瀬戸内の小さな島にある「ライオンの家」というホスピスで余生を過ごすことに。そこで彼女は、“おやつの時間”という、人生で一番好きだったおやつをリクエストできる特別な日を体験していきます。
読んだ感想・印象的なポイント
涙が出るというよりも、読み終えたあとに静かに心に残るような温かさがあります。人生の終わりをこんなふうに迎えられたら…と、考えさせられました。
こんな人におすすめ
忙しい日々でちょっと疲れている人。人の優しさにふれたいときに。
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『流浪の月』
著者:凪良ゆう|出版社:東京創元社|ページ数:約330ページ(文庫)|出版年:2020年
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社会が決める“正しさ”とは?静かな衝撃が胸に残る物語。
どんな小説か?
世間の目と、自分たちの真実との狭間でもがきながら生きる男女を描いた、静かで重厚な人間ドラマ。
あらすじ(ネタバレなし)
少女時代に「誘拐された」とされる事件を経験した更紗と、その加害者とされた青年・文。15年後、偶然の再会を果たした2人が、再び世間の常識と自分たちの感情の間で揺れ動きます。
読んだ感想・印象的なポイント
何が正しくて、何が間違っているのか。世間と心のズレが痛いほど伝わる物語でした。読む人によって解釈が変わる、深い一冊です。
こんな人におすすめ
社会問題に関心がある人。静かな感情の揺れを感じたい人。
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『センセイの鞄』
著者:川上弘美|出版社:文藝春秋|ページ数:約250ページ(文庫)|出版年:2001年
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30歳の私が憧れた、静かでやさしい恋。
どんな小説か?
年の差のある男女が、少しずつ心を通わせていく日々を淡く描いた恋愛小説。派手さはないが、じんわりと心に染みます。
あらすじ(ネタバレなし)
高校時代の国語の先生と、偶然再会した女性・ツキコ。再会をきっかけに、ふたりはゆっくりと距離を縮めていきます。
読んだ感想・印象的なポイント
大人になってからの恋ってこんなにも穏やかで、切ないものなのかと感じました。時間の流れを大切にしたいと思える物語です。
こんな人におすすめ
静かな恋愛小説が好きな人。大人の読書時間を大切にしたい人に。
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『そして、バトンは渡された』
著者:瀬尾まいこ|出版社:文藝春秋|ページ数:約370ページ(文庫)|出版年:2018年
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血のつながりよりも、心のつながりが大事だと教えてくれる。
どんな小説か?
血のつながらない親たちに育てられた少女の成長を描く物語。前向きで、読後に温かい気持ちになる小説です。
あらすじ(ネタバレなし)
主人公・優子は、母親が何度も再婚を繰り返すなかで、父親が次々に変わるという複雑な家庭環境に。けれど、彼女はたくさんの愛情を受けながら育っていきます。
読んだ感想・印象的なポイント
笑顔と涙が交互にやってくるような一冊でした。家族の形に正解なんてないんだなと、優しい気持ちになれます。
こんな人におすすめ
前向きになりたいときに。心温まるストーリーを探している人に。
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『その日のまえに』
著者:重松清|出版社:文藝春秋|ページ数:約270ページ(文庫)|出版年:2005年
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「その日」が来るまで、何を想い、どう過ごすか。
どんな小説か?
死をテーマにしながらも、生きることの大切さや家族の絆を静かに描いた短編集。
あらすじ(ネタバレなし)
ある日、愛する人が病に倒れ、「その日=死」が近づいてくる。いくつかの短編を通じて、別れの準備と、残された日々の尊さを描きます。
読んだ感想・印象的なポイント
誰もが避けて通れない“別れ”を、こんなにも優しく描けるのかと思いました。涙をこらえながらページをめくりました。
こんな人におすすめ
家族や大切な人を思い出したいときに。心の整理をしたいときに。
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『犬がいた季節』
著者:伊吹有喜|出版社:双葉社|ページ数:約370ページ(文庫)|出版年:2020年
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一匹の犬と高校生たちが紡いだ、ささやかな青春の記憶
どんな小説か?
昭和から平成へと続く時代を背景に、同じ高校に通う生徒たちと一匹の犬が織りなす連作短編集
あらすじ(ネタバレなし)
ある高校に迷い込んだ一匹の犬。生徒たちとのふれあいや別れを通じて、それぞれの時代の青春が浮かび上がります
読んだ感想・印象的なポイント
ノスタルジックな空気が心地よく、まるで自分の学生時代を思い出すような気持ちになりました。犬の存在がとにかく愛おしいです
こんな人におすすめ
学生時代を思い出したい人。動物が好きな人にもおすすめです。
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『君の膵臓をたべたい』
著者:住野よる|出版社:双葉社|ページ数:約320ページ(文庫)|出版年:2015年
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自分の余命を知っている彼女と、心を閉ざした僕のひと夏。
どんな小説か?
死を間近にした少女と、他人に興味のなかった少年の交流を描いた青春小説。切なさと眩しさが交差する一冊。
あらすじ(ネタバレなし)
偶然、クラスメイト・桜良の秘密を知った“僕”。彼女の残された時間を共に過ごすことで、自分の中にも変化が生まれてくる。
読んだ感想・印象的なポイント
タイトルのインパクトに惹かれたけど、意外に純粋でまっすぐな物語でした。涙よりも「今を大切にしたい」と思わせてくれる一冊です。結末は予想外だった。
こんな人におすすめ
青春小説が好きな人。生きることの意味を静かに感じたい人におすすめです。
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まとめ
どの作品も、派手な展開や衝撃的な結末があるわけではありません。
でも、人生の機微や人のぬくもりが丁寧に描かれていて、読み終えたとき、静かに何かが満たされている。
そんな“心に優しい小説”が、きっとあなたの本棚にも一冊、加わるはずです。
気になる作品があれば、ぜひ読んでみてください。
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